冤罪 事件
元九条署長に無罪判決 放置死隠ぺい事件で京都地裁 - z
2005/02/10 (Thu) 22:09:31
元九条署長に無罪判決 放置死隠ぺい事件で京都地裁
九条署放置死隠ぺい事件で、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元署長高崎正代司被告(61)=警視正で退職=の判決公判が12日、京都地裁であった。氷室真裁判長は「副署長ら部下と共謀して虚偽文書を作成したと認める十分な証拠はなく、犯行を行ったと認めるには合理的な疑いが残る」として、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
この事件は内部告発で発覚し、京都府警が捜査と内部監察を進めたが、判決は副署長や刑事課長ら部下が虚偽文書を作成したことは認定したものの、署長の関与については「取調官の誘導に基づく可能性を否定できない」と、警察段階の署長の自白調書の信用性を否定。不祥事が発生し、さらにその捜査までが「ずさん」と認定されたことで、府警は極めて大きな痛手を受けるとともに、判決は警察の不祥事捜査のあり方に反省を迫ったといえよう。
高崎元署長は、泥酔男性を車庫のコンクリート上に寝かせ、その後死亡した不適切な保護が非難されるのを恐れて、当時の副署長(66)に「パトカーの中でええやんか」と隠ぺいを指示し、捜査書類と報告書計4通に「パトカー内で保護していた」と虚偽を記載させたとして、起訴された。
元署長は府警の取り調べ段階では一部関与を認める供述をしていたが、公判では▽副署長にマスコミ対応に限って「本署で保護」とするよう指示しただけで隠ぺいは指示していない▽虚偽文書は決裁していない▽取調官に「報道発表文も虚偽文書だ」と誘導され、警察の筋書きを認めれば軽い処分になると思って自白した-として、無罪を主張。
一方、証人出廷した当時の地域課長(59)や刑事課長(55)は「署長の前で副署長が隠ぺいを指示した」などと元署長の関与を証言していた。
氷室裁判長は最初に、副署長や各課長の証言を検討。「署長に凍死の疑いと報告したという副署長の証言は不自然」とし、指示を受けたという部下の証言も相互に矛盾し、信用できないと認定。「署長が保身のために隠ぺい工作を行ったとは考えにくく、とりあえずマスコミ対応を指示したことは十分考えられる」と判断した。
【九条署放置死隠ぺい事件】 1997年1月16日、九条署員が京都市南区で泥酔男性を保護したが、署内車庫に放置し、男性は死亡した。京都府警は「パトカー内で保護していた」と捜査書類や報告書に虚偽記載した虚偽有印公文書作成などの容疑で当時の高崎正代司署長や副署長、地域課長ら署員8人を、また業務上過失致死容疑で地域課員3人を書類送検。京都地検は「署長が隠ぺいを指示した」として高崎署長を起訴し、残る署員の立件は見送った。
(京都新聞) - 1月12日14時59分更新