冤罪 事件
みひかり園虐待事件/10 被告は職員ねつ造主張 /鹿児島 - z
2005/02/11 (Fri) 21:53:19
法廷証言:みひかり園虐待事件/10 被告は職員ねつ造主張 /鹿児島
串良町の知的障害者更生施設「みひかり園」の虐待事件で、懲役3年を求刑された前園長、坂元続被告(73)は一貫して否認を続けている。今回は被告人質問の抜粋・要約を紹介する。
【日時】04年6月10日の第13回公判と、同9月16日の第16回公判で、弁護側、検察側、裁判官の順に尋問。
【事件の概要】起訴事実は(1)00年8月3日、男性入所者V(28)=既に退所=を園内の車庫の支柱に縛り付け、殴打(2)01年9月21日、食堂で水遊びをやめないVとかばった女性指導員Q(29)をつえで殴打(3)01年4月6日、園の敷地で花見中に女性通所者Z(53)のわき腹をける――の3事件。今回の尋問に出てくる写真とは、(1)の事件を目撃した職員が、縛られたVを撮影したもので、公判でも証拠採用されている。
【登場人物】L=00年8月の事件を目撃し、最初に証言台で虐待の数々を語った女性職員。
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■第13回公判
◆弁護側の尋問
◇車庫事件
――Vさんが縛られたのを見たことがあるか。
「全然ありません」
――逮捕前に法務局の調査を受けているが、Vさんが縛られた写真を見せられたか。
「はい。Vさんが大きく写っていた。私は『どこを縛っているんですか』と聞いた。胸にモザイクがしてあった。『ここだよ』と法務局の職員が答えたので『こんなところを縛るんですかねえ』と私は答えた」
――捜査段階で見せられた写真で記憶に残っているのは。
「法務局の写真は胸を縛っているし、新聞社の写真は腹を縛っており、それぞれ違う」
――職員の証言について、どう考えるか。
「私を陥れようとしていることなので、分かりません」
――あなたはVさんを車庫の柱に縛り付けたことはないんですね?
「ありません」
――暴行については?
「なぜ、そんなことができますか」
◇食堂事件
――食堂で近くに寄り、2人の体に触ったか。
「両方の体に触った」
――どういうふうに?
「QさんがVさんを抱きとめ、Vさんも落ち着いていたので『もうよかではなかか』とQさんの腕をたたいた。私が『Vさん、もうご飯だよ』と引き離すと、Vさんは喜んで行きました」
――あなたはつえを持っていたか。
「Vさんがつえを持っていたので、それを元に戻した」
――つえで2人をたたいたのか。
「よく考えてみてほしい。当日は運動会前日ですから、保護者も来てらっしゃいます。食事の時には、外で手洗いしている保護者が窓越しに見てらっしゃいます。追い回したり、できるはずがありません。それに私は左利きなので右手で振り上げるはずがない」
◆検察側の尋問 - z
2005/02/11 (Fri) 21:54:17
◆検察側の尋問
――あなたは捜査段階で男性職員に陥れられたと言ってますね。
「はい」
――そう思うのはなぜ。
「給料の関係だと思います」
――そんなことで、ここまでするのですか。
「本人に聞かないと分かりません」
――その職員にこれまで何かされたことがあるのか。
「ありません」
――では、(告発に動いた)Lさんから陥れられる理由はあるのか。
「兄妹、親子と思って付き合ってきた」
――つまり、何もないということ?
「こちらが聞きたいぐらいだ」
◇車庫事件
――Vさんが縛られている写真ですが、裁判所に出されたのと、法務局が見せたのは違うのか。
「縛られている部分が違う。あと写っている車の詰まり具合が違う。Vさんのシャツも違うような気がする」
――Vさんの態勢は同じか?
「違う。腕を上げているのは同じです」
◆裁判官の尋問
――施設運営を始めてどうだったか。
「そりゃもう大変です」
――重度の利用者は言うことも聞かないのでは。
「いや重度が一番いい。言うことをよく聞く。軽度の人はいくら言っても、チョロチョロ動くし、言うことを聞かない」
――頭にきて手を出したことはないか。
「なかったとは言わない」
――多少は手を出したのですか。
「出しました」
――多少強い指導もあったのでは。
「はい」
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■第16回公判 - z
2005/02/11 (Fri) 21:54:41
■第16回公判
◆弁護側の尋問
◇車庫事件
――縛る行為についていろいろな人が証言したが、聞いていて一番おかしいと思うことは何か。
「4人ぐらいが見たと証言したが、縛るのに使ったものが食い違っている」
――縛り付けた後、セカンドバッグで殴ったとされているが、バッグは何種類持っているか。
「一つだけです」
――普段バッグに何を入れていたか。
「手帳、財布、眼鏡、電卓などです」
――最近眼鏡を替えたか。
「いいえ」
――今の眼鏡はいつ買ったか。
「30年ほど前です」
――眼鏡のレンズはガラスかプラスチックか。
「ガラス製です」
――もし、あなたがバッグでたたけば、眼鏡はどうなるか。
「割れるかもしれませんね」
――バッグで殴っていないんですね。
「はい」
――あなたは左利きでしたよね。
「はい」
――(右足でけったとの目撃証言があるが)もし、けるとしたら、どちらの足ですか。
「意識してなら右でもけれるが、左の方が多いと思う」
◇食堂事件
――「Vさんに触った」と言う場面を、もう一度説明してほしい。
「昼食前にVさんも一緒に座っていた。ご飯が早く出ないものだから、腹が減り、暴れるというか、つえを取って自分の体を打つというか、当てるということを、ぴょんぴょん跳ねながらやっていた。私は他の利用者に当たるといけないと思って、『やめんか』と言った。Vさんがつえを下に置いたので、私がそれを元に戻し、QさんがVさんを抱きとめたんです。抱きついて離れないから、打ったというか、そうしたら離れた。それだけのことです」
――Qさんは、あなたに殴られ、食堂を出て行ったと証言しているが、そういう騒動があったと記憶しているか。
「ない」
――外部に情報が漏れないように(意思表示が苦手な)重度の人を狙っていた、と職員は証言しているが、当日は保護者が(運動会の準備で)園に来てましたね。
「保護者がいる中で、大声を出して、つえを振り上げることができるでしょうか」
◇花見事件
――Zさんの出張尋問での証言を聞いてどう思ったか。
「『けられた』と言ったのには憤慨している」
――なぜZさんがそう証言したと思うか。
「誰かに言わせられたのだと思う」
――Zさんは通所者で障害は軽度のようだが、第三者が「こう答えなさい」と言ったら、そう答える人なのか。
「答えるでしょう」
――花見の席で妻の副園長と会話をしたという証言があるが、副園長から(事件について)とがめられたのか。
「全然記憶にない。妻がいたかどうかさえ記憶していない」
× ×
――職員が「暴力によるけがは日誌に書かない」と証言しているが、そう指導したのか。
「そんなことは許されない」
――けがをした時の園での日誌のつけ方は。
「ちょっとしたあざや、ひっかき傷でも日誌につけろ、と言っていた」
――三つの事件について起訴状に書かれている暴行などは、すべて身に覚えがないのか。
「はい」
――証言した人は、あなたからするとうそを言っていることになるが、なぜうそをつくのか。
「私も一番そこが知りたい。なぜいじめられなきゃいけないのか。今までの証言の内容はみんな違う。一人一人供述調書や尋問でも違う。やっていないことをやったかのように言うから、食い違うんじゃないか」
◆検察側の尋問 - z
2005/02/11 (Fri) 21:55:05
◆検察側の尋問
◇車庫事件
――あなたは「証言に食い違いがある」と言うが、みんながグルになって口裏を合わせれば、食い違いは出ないのでは?
「そうですよね」
――法務局で見せられた写真と法廷にある写真は違うのか。
「はい」
――私が法務局の写真を確認したが同じだった。あなたの見間違えではないか。
「見間違えではありません」
――毎日新聞に載った写真も同じだと思うが。
「いや、違う。縛ったところが違うでしょ」
――この事件は別として、言うことをきかない利用者をたたくこともあったと言っていましたね。
「はい」
――今まであなたがやったのはどんなこと?
「床や壁をはぎとろうとする利用者に『もうやめんか』と尻をたたいた程度。みなさんが言う、たたいたとは違う」
◆裁判官の尋問
――男性職員から陥れられたと思っていたんですよね。
「はい」
――しかし、法廷ではいろんな人が証言しているが、みんなで相談しているということか。
「恐らく、そうじゃないかと思う」
――あなたが逮捕されたのは03年7月です。わざわざ2、3年前のことをねつ造しますかね。
「ですよね。不思議で、不思議でたまらない」
――あなたとしては00年8月3日の事件は作り話と言うことでしょ。
「はい」
――ここで証言した人がでっち上げたと言うことでしょ。
「はい」
――不思議なんですよ。なぜ古い時期のものをねつ造するのか。逮捕時に近いものをねつ造してもいいでしょ。なぜわざわざそうするのか。心当たりはないか。
「ないです」
――それは別にして、利用者が言うことを聞かない時に殴ったことはあるんでしょ。
「殴ったというのはない」
■取材ノート - z
2005/02/11 (Fri) 21:55:23
■取材ノート
坂元被告は「身に覚えがない」と虐待を一貫して否定している。当初はかかわりを避けながら「見て見ぬふりをしてしまった」と悔いて証言した職員の姿と対照的だ。
事件発覚直後、坂元被告は調査もろくにせず虐待を否定し、保護者会長らも説明をうのみにした。その後、法廷で保護者会長は「保護者会幹部らの調査で、職員の半数が虐待を認めたが、他の保護者に結果を伝えなかった」と不自然な対応ぶりを明かした。一方、施設を監督すべき県も虐待を見抜けず、職員から不信感さえ抱かれていた。
坂元被告ら利用者を守るべき人間は責務を果たさず、犠牲になるのは利用者ばかりだった。裁判は来月の弁護側最終弁論を経て、坂元被告に判決が下される予定だ。だが、それで終わりではない。事件が突きつけた課題を放置すれば、利用者を顧みなかった愚行を再び繰り返すことになる。【河津啓介】
1月20日朝刊
(毎日新聞) - 1月20日17時3分更新
Re: みひかり園虐待事件/10 被告は職員ねつ造主張 /鹿児島 - z
2005/02/11 (Fri) 23:59:48
権利侵害・知的障害 ニュース ダイジェスト
http://www1.odn.ne.jp/ikuseikai/newsdigest/newsdi2003.html